禁煙を続けるための特別な6つのコツ

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禁煙を継続するには

 「煙草をやめるなんてとても簡単なことだ。私は百回以上も禁煙している」これは、『トム・ソーヤーの冒険』で有名な作家のマーク・トウェインが語った有名な言葉です。

 このように禁煙は始めるのは簡単ですが、継続するのは難しいと思われています。

 根性だけでチャレンジし、何日かは続くものの、あえなく敗退。しばらくするとまた禁煙しなければと思い立ち、やってみるけれども、また失敗……。そんなことを何度もくり返しているという方も多いでしょう。

 それでは、どうやったら継続することができるのでしょうか?この記事では、禁煙を続けるための6つのコツについて解説します。

 

この記事の目次

スモールステップ法

ベイビーステップ

スモールステップ法について

 少しがんばればできそうだと思えるような小さな目標を設定して、それを達成することを繰り返していきます。すると、思いのほか簡単にできます。そして、小さな目標を達成することで着実に自信ができ、ドーパミンも脳内で出るため意欲が持てるようになります。

 赤ちゃんがゆっくりハイハイするように進んでいくのでベイビーステップ法とも名前がついています。具体的には、「とりあえず1日だけ禁煙する」などが小さな目標です。ウオーキングなら、とりあえず靴を買う。次には履いてみる。といった感じです。それならできるという人が多いのではないでしょうか?

3日、3週間、3ヶ月の法則

 ニコチンの禁断症状(離脱症状)は禁煙後3日以内にピークがあり、おおむね、1週間、長くても2-3週間で消失します。つまり、長くても身体的依存は3週間でなくなります。

 習慣は徐々に薄れていき、3ヶ月位で消失、とも言われており、禁煙の難所はこの3箇所でここを乗り切るのがポイントです。

 つまり、3日、3週間、3ヶ月を目標に、スモールステップで吸わない期間を延ばしていくのが良いのです。

ホームランではなく、まずはヒットから打とう

 禁煙指導で有名な京都府立医大の故・繁田正子先生は、禁煙を野球にたとえた話をされていました。

1日禁煙→かすった程度 

3日禁煙→ヒット 

1週間禁煙→1点 

1ヶ月禁煙→初勝利 

1年禁煙→優勝 

 なかなか面白い考え方ですね。

 まずは、ヒットを目指しましょう。その次は、1点、初勝利、優勝を目指していきましょう。小さい目標を設定し、それを成し遂げて行くわけです。これは、まさにスモールステップ法ですね。

 いきなりホームランから初勝利を狙うのではなく、まずはヒット(3日禁煙)、1点(1週間禁煙)を目指しましょう。

 

応援の力を利用する応援の力

ほめられるとドーパミンが出てやる気アップ

 うまくいっている時にほめてもらうことは禁煙継続には大事です。応援者にほめてもらうのは、”自分はできる”という自己効力感にもつながり、禁煙がしやすくなります。また、心理学的にもほめてもらうことがごほうび(報酬)として働き、新しい習慣をつくるのに役立つのです。さらにほめられただけでもドーパミンが出るので、やる気アップ。しっかりほめてもらって、楽しく禁煙を続けましょう。

だれに応援してもらうか?

 だれに応援してもらうかですが、家族などあなたが禁煙することで恩恵を受ける人に応援してもらうのが、一番本気になってもらえるので良いでしょう。

禁煙外来のスタッフも応援者です

 応援者がみつからない場合でも禁煙外来を利用すれば、医師や看護師が応援者となります。あなたの禁煙を応援しながら併走してくれます。

禁煙外来を利用する禁煙外来

体の依存から来る禁断症状を防ぐことができる

 体の依存(身体的依存)が強い場合、タバコを吸わないでいると禁断症状(離脱症状)が出てつらい状況になります。そこで薬物療法(禁煙補助薬)の出番です。薬物療法には、ニコチンパッチ、ニコチンガム、飲み薬(チャンピックス) があります。

 依存度が高い方には強くお勧めします。また、以前の禁煙で禁断症状が強く出た方にもお勧めします。

 薬局で販売されているニコチンパッチやニコチンガムを使ったり、医師の指導のもとで病院・医院でニコチンパッチ(ニコチネルTTS®)や内服薬 (チャンピックス®) を服用したりすると、禁断症状が楽になって禁煙しやすくなります。禁煙補助薬は、「イライラする」「タバコを吸いたくてがまんできない」などの禁断症状を軽くします。また、禁煙成功率が2倍程度高まることもわかっています。

禁煙補助薬を使っているあいだに吸わない習慣を作り上げることが大事

 禁煙外来では、薬を処方してもらうだけではありません。習慣依存に対するアドバイスも行われます。

「同じ場所で同じ時間にタバコを吸う傾向があり、またある人と一緒にいる時や、手持ちぶさたなどの時に吸わなければ、しっくりこないし、つらく感じる」ということが習慣依存です。

 以前は吸っていた環境、状況で吸わないことを繰り返し選んでいると、その環境と喫煙の心理的な結びつきが減り、習慣の力が弱まっていきます。

 つまり、吸わない期間を1日1日延ばしていくことで、習慣依存を減らしていくのが大事なのです。禁煙外来に通うのはそのための訓練期間なのです。

 医師、看護師が応援者になってくれる

 上記でも書きましたが、禁煙外来では、医師・看護師からアドバイスをもらえるだけでなく、一緒に走って応援してくれます。それがモチベーションになってがんばれます。

 

一本だけに負けないで!一本だけおばけ

一本だけお化けとは?

 ふと吸いたくなった時に、「1本だけ」吸ってみようとすることは本当によくあることです。そして、その一本がそれまでの禁煙の努力を水の泡にしてしまいます。注意喚起するために擬人化したものが「一本だけお化け」です。奈良女子大学の髙橋裕子先生が提唱したものです。

 ”一本だけおばけ” にそそのかされ、どれだけ多くの方が失敗してしまったことでしょうか。

 確かに、吸いたい気持ちになった時に、1本吸うと吸いたい気持ちは一瞬はおさまります。しかし、一時間もすれば吸いたい気持ちが禁煙を始めたときのように強い感情となってよみがえってくるのです。そのため次の1本をがまんすることはさらに困難になり、それに抗しきれずに2本目を吸ってしまうと、そのまま3本目、4本目をずるずると吸ってしまうのです。禁煙チャレンジはその結果終了となってしまいます。

「今はタバコを吸わないことを選ぼう」

 吸いたい気持ちが出てきたら、それを吸うことでおさめるのではなく、「この1本を吸うことがタバコを吸いたい気持ちを作り出し、強くし、つらくさせるのだ」と考えて下さい。

 そして、一本だけお化けがそそのかしてきたら、このように口に出しましょう。

 「今はタバコを吸わないことを選ぼう」。ガマンでなくて、吸わないことを自分で選択するのです。

「どうにでもなれ効果」を知っておく

どうにでもなれ効果

どうにでもなれ効果(禁断破断効果)とは?

 禁煙期間中に「1本吸ってしまった。」さあ、最大の危機です。あなたならどうしますか?

 なんてことをしてしまったんだ。自分はなんて情けないんだ。など自分を責めたり、自信喪失したりして、どうせ失敗したのなら「吸ってやる!」とばかりに破れかぶれでそのあとタバコを何本も吸ってしまい、禁煙に失敗してしまった。残念ですが本当によくあるパターンです。これが、どうにでもなれ効果です。正式には心理学では、禁断破断効果といいます。

つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの

 どうにでもなれ効果に負けないためには、どうしたら良いでしょうか?それには、詩人のあいだみつおさんの言葉を思い出すのが良いでしょう。

つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」by あいだみつお

 失敗した自分を許しましょう。そうすれば、罪悪感を感じ、失敗を繰り返すことを避けることができます。
 そして、許した上で、以下の言葉を口に出しましょう。

「次の1本は吸わないようにしよう」

 失敗してしまったというその気持ちはやさしく認めた上で、次の1本は吸わないことを自分が選択するのです。

 この言葉を選んだのには理由があります。

 米国のある研究では、規則や他からの強制を意味する「~できない」と言った場合と比較して、自分の選択として「~しない」という言葉を使った方が、行動に結びつきやすいという結果でした。具体的には、学生120人を対象に、チョコレートバーの誘惑を退ける力を分析しました。「チョコレートバーを食べることはできない」と自分に言い聞かせた学生の61%がチョコレートバーを食べてしまったのに対し、「チョコレートバーを食べない」というフレーズを使った学生では、チョコレートバーを食べたのは36%にとどまりました。

 このことを禁煙に応用すると、「タバコを吸うことができない」よりは、「タバコは吸わない」という言葉の方が良いわけです。

「次の1本は吸わないようにしよう」

 言葉の力を利用しましょう。

心の依存(心理的依存)を知る心理的依存

認知のゆがみ

 「認知」というのは、その人がものごとをどのようにとらえているのか、そのとらえ方のことです。タバコに対する心の依存が生じると、タバコの害を信じなくなったり(否認)、喫煙を正当化するための理由を見つけたり(合理化)といった行動をとります。それらを「認知のゆがみ」と言います。

 依存症は「否認の病」と言われています。否認が起きているならば自分が依存症になっていないかと疑う必要があります。

 タバコは良いものだと思っていたり、タバコは害がないと思っていたりすることは、認知のゆがみなのですが、本人は気づいていないことが多いようです。

 体の依存(身体的依存)はとっくに脱しているのに、何ヵ月たっても吸いたい気持ちが強い場合は、心の依存すなわち認知のゆがみが残ってる可能性が高いと思われます。

 認知のゆがみを正すには、認知行動療法を使うこともありますが、ここでは以下の動画を見ていただくことで、認知のゆがみを解消していただければと思います。

タバコはストレス解消に役立つ?

<参考> 

ストレスとがんは関係ありますか?

ストレスとがん・心臓病の関係は誰が言い出したのか? – NAVERまとめ

 – 「ストレスが体に悪い」、「タイプA行動パターンだと心臓病になりやすい」という考えは、タバコ会社の資金をもとに行われた研究の影響を強く受けています。

 

喫煙者が減っているのに、肺がんが増えているのは、タバコ(喫煙)と肺がんは関係ないからだ?

<動画の解説>

喫煙者が減っているのに、肺がんが増えているのは、タバコ(喫煙)と肺がんは関係ないからだ

 – 動画の内容を詳細に解説しています。

 

まとめ

 以上みてきたように、この記事では、禁煙を続けるための6つのコツについてご紹介してきました。

 すべて出来れば理想ですが、全部一度にやろうとすると気後れするでしょう。そこで、スモールステップ法の出番です。まずはできそうなものから、1つ1つ試してみてください。

 6つのコツを良く理解して実行していただければ、卒煙への道が必ず開けるものと信じています。

 

画像はすべてGraphicStock  より

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